国分寺駅の南口から徒歩2分のところにあるのが、殿ヶ谷戸(とのがやと)庭園。
トリップアドバイザーによると、2020年3月時点で、殿ヶ谷戸庭園は国分寺市の観光スポットの中で第1位の人気です。
都立庭園で入園料が掛かります。2020年3月時点で一般(13〜64才)の料金が150円、65才以上が70円です。13才未満までは無料なので、子供を連れて武蔵野の植物や野鳥、国分寺崖線の起伏のある地形や、崖線が生み出した湧水源や池を学んでもらうには絶好の場所です。巡回ルートも結構アップダウンがあるので、1周するのもちょっとしたハイキング気分ですね。
20名以上で団体料金となります。また、無料入園日が年に2回あり、5月4日のみどりの日と10月1日の都民の日です。詳細についてはこちらをご覧ください。
https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/about036.html
この庭園は国指定の文化財(名勝:めいしょう)の指定を受けています。東京の多摩地区で名勝に選ばれているのは、この殿ヶ谷戸庭園と小金井の桜だけで、とても重要だということが伺えますね。
さて、この殿ヶ谷戸庭園。まず殿ヶ谷戸(とのがやと)って何だろうと思いますよね。実は、この庭園があった地域が、昔は国分寺村の「殿ヶ谷戸」という地名だったのです。現在の国分寺市にあたるエリアでは、江戸時代より前に国分寺村と恋ヶ窪村の2つの村が存在していたと考えられていますが、いつ頃からかは確認できなかったのですが、現在の国分寺駅周辺が国分寺村殿ヶ谷戸と呼ばれていたようで、「殿ヶ谷戸」の地名はこの国分寺市南町の殿ヶ谷戸庭園の他にも、国分寺街道の上で、国分寺市南町と本町の境を走る中央線の高架線路も「殿ヶ谷戸立体」と名前が残っています。
殿ヶ谷戸庭園は、元々、江口 定條(えぐち さだえ)という、後の南満州鉄道の副総裁になった実業家の別荘でした。1913〜1915年にここに別荘を作り、1929年に三菱財閥の一族である岩崎 彦弥太(ひこやた)に売却し、岩崎氏が現在の殿ヶ谷戸庭園の元となる、回遊式林泉(かいゆうしきりんせん)庭園を完成させました。第一次大戦時に、多摩地区は土地の値段が高騰し、国分寺も別荘の土地として積極的なPRを行なっていたようです。なお、日立製作所の中央研究所がある国分寺駅の北側すぐの広大な敷地も、今村繁三という銀行家の別荘でした。
さて、殿ヶ谷戸庭園の見どころですが、回遊式庭園ですので、ルートの順に沿って見ていきましょう。
最初は萩のトンネル。こちらはマルバハギやヤマハギが伸びて花を付ける9月中旬あたりが見頃ですが、冬に行ってもトンネルの枠だけで寂しいです。
続く藤棚。こちらも花の見どころ5月上旬くらいなので、冬に行ってもまだ寂しいものです。木の幹がすごいウネリですね。
ここには野鳥もよく訪れますが、私もムクドリが広場にいるところを目撃できました。
竹の小径は、本当に見応えがあります。竹が多いし、何よりも高いです。
次郎弁天池に行く手前の上り階段を上がると、馬頭観音の石碑があります。1824年に建立された石碑で、国分寺村を歩む馬の無事を祈ったのでしょうか。
そして次郎弁天池。ここは国分寺崖線(がいせん)という、太古の多摩川が削ってできた崖によって、起伏もあり、そして水も湧き出しています。
次郎弁天池には鯉も多く生息しており、中にはこんな模様の鯉も。最初見た時、鼻が人間の目のように見えてドキッとしました。
この次郎弁天池の湧水の上流をたどると、鹿(しし)おどしがあります。日頃、ししおどしの音を耳にする機会はあまりないのではないでしょうか。この音を聴くためだけに殿ヶ谷戸庭園に訪れるのも良いと思います。私もずっと繰り返し聴いていました。
国分寺駅からの近い上に、本当に色々と楽しめる庭園です。四季折々の見応えがありますので、私もまた季節が変わった時に訪問したいと思います。
Last Updated on 3月 16, 2020
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