福間洸太朗さんのベートーヴェン・アルバム

1月24日の日経新聞を読んでいると…

一昨日、日曜日の日課として日経新聞の朝刊を何気なく読んでいると、文化時評というコーナーに「コロナ禍が日本の若手育てる」という記事がありました。コンサートや演劇公演の話なのですが、昨年からの新型コロナウイルスの影響で、海外からの劇団や指揮者、演奏家などの来日がキャンセルになり、日本の劇団や演奏家が代役を果たすことが多くなり、日本の若手に注目が集まっている、というような内容でした。

その中にこのような内容が。

例えば82年生まれのピアニスト、福間洸太朗さんのアルバムは、昨年、ベートーベンの生誕250年を記念する多くのCDの中で、一時、トップクラスの売れ行きを記録した。

「コロナ禍が日本の若手育てる」、日経新聞2021年1月24日(日)朝刊

あれ、国分寺市が誇る世界的ピアニスト、福間洸太朗さんの名前が出ているじゃありませんか。

国分寺市の観光大使の一人、ピアニストの福間洸太朗さん

現在、国分寺市には観光大使が3人+1グループがいて、国分寺市出身のピアニスト、福間洸太朗さんもその1人です。

【国分寺市HP】国分寺市観光大使

国分寺市の市立第四小学校、市立第四中学校出身で、都立武蔵高校卒業後はヨーロッパへ留学し、現在はドイツのベルリン在住とのこと。四小、四中の卒業生に世界的ピアニストがいるとは、すごいですね。

昨年はベートーヴェン生誕250年

さて、昨年2020年は作曲家ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの生誕250年のアニバーサリーで、クラシック音楽の世界では世界各国で様々な音楽祭やコンサートが企画されていました。ただ、コロナ禍でほとんどが中止、無観客での開催となってしまいました。

一方で、レコーディングでは、例えばダニエル・バレンボイムという音楽家はコンサートが中止になったおかげでピアノに集中することができたらしく、5回目となるベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集のレコーディングをおこなっています。

また、ソ連出身で現在は京都を本拠地にしているピアニスト、イリーナ・メジューエワも2度目となるピアノ・ソナタ全集を富山で録音しています。

さらに、ベートーヴェンの交響曲でも、今最も活躍している指揮者、アンドリス・ネルソンスがウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮して2019年に完成させた交響曲全集もリリースされ、レコーディングとしてのベートーヴェン・イヤーは充実していたと思います。私も結構買いました。

福間洸太朗さんの初ベートーヴェン・アルバム

そんな中、2020年4月に福間洸太朗さんの初となるベートーヴェンの録音もリリースされています。私も一昨日の日経新聞の記事を読んで、そう言えば観光大使のレコーディングをまだ聴いていないぞ、と思い、すぐさまネットで注文しました。

福間洸太朗さんのベートーヴェン・アルバム
福間洸太朗さんのベートーヴェン・アルバム

14歳の時にウィーンのベートーヴェンの墓石の前で、ベートーヴェンから音楽家になる覚悟はあるかと聞かれた気がするというエピソードがある福間さんが、それから20年余り経って2019年10月にイギリスで録音した3曲のベートーヴェンのピアノ・ソナタ、第17番「テンペスト」、第24番「テレーゼ」、第32番が収録されています。

情熱と熟考の「テンペスト」

「テンペスト」は切れ味鋭いタッチで情熱的な演奏と、熟考された深い演奏の対比が見事でした。

また、関連して福間さんのYouTubeに3年前にアップロードされた解説動画があるのですが、これを見ると演奏が分かりやすくなるのでオススメです。

私も15年前にピアノのレッスンを受けて「テンペスト」の第1楽章を習って発表会でも演奏したことがあるのですが、弾き方のテクニックについては教えてもらったのですが、音楽理論のほうは全く教わらなかったので、雰囲気で弾いていました。このYouTube動画では、調性の変化やどこが主題なのかなどが分かりやすいので、もう一度「テンペスト」を弾き直そうかなと思い始めています。

慈愛と情熱の「テレーゼ」

続いてピアノ・ソナタ第24番「テレーゼ」は、福間さんの演奏は慈愛に満ちていて、情熱がほとばしっています。ベートーヴェンの中期の作品らしいですよね。

深い、ピアノソナタ第32番

3曲目は、ベートーヴェン最後のピアノ・ソナタ、第32番。私も10年前にピアノの発表会で第32番の第1楽章を演奏する予定でした。ただ、直前の東日本大震災の影響で、発表会は中止に。あの当時は今以上に自粛ムードだった気がします。年に1回、スタインウェイのピアノで演奏することを目標として練習していたのですが、発表会が無くなったことでこの第32番は皆に披露しないまま終わってしまった、私の中で未練の残る作品です。

この福間さんの演奏を聴くと、たっぷりと間合いを取った演奏で、深い解釈だなと思います。第1楽章はハ短調なので、速めのテンポで一気に弾くことで圧倒的な演奏にはなるのですが、福間さんは決してそういうことをせず、テンポも中庸で1音1音を大切に弾いている感じがします。スタッカートでは切れ味が鋭くてさすがですね。トリルを多用する長大な第2楽章では最後まで美しさと力強さがあります。

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Last Updated on 1月 26, 2021

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