恋ヶ窪から移動する国分寺市役所
2021年現在、国分寺市役所は恋ヶ窪にあります。耐震性に問題があった旧本庁舎から移動してきて今の位置に分散庁舎という状態になってしまったのですが、11年以上経過しています。新たに庁舎を建設するという話が数年前からあり、2019年の第4回定例会で国分寺市役所位置変更の条例が可決され、新庁舎の土地の選定を東京都が保有する泉町2丁目の土地で推進することで進んでいます。
こちらは1年前の2020年1月15日版の市報国分寺の1面ですが、大々的にこの件が掲載されていました。
武蔵国分寺公園と東京都公文書館の隣の土地に決定
地番表示で泉町2−102−9の土地は、写真で見るとご覧のとおりです。こちらは2020年2月に武蔵国分寺公園のふれあい橋から西向きに撮影したものですが、武蔵国分寺公園の西に消防署の庁舎が建設され、その西に国分寺市の新庁舎(新しい国分寺市役所)が建設される予定です。ここは北隣に2020年4月にオープンしたばかりの東京都公文書館、さらに北に都立多摩図書館があり、どちらも新しいモダンな建物で美しいです。
新庁舎の工事事業者が竹中工務店率いるJVに決定
5者のJVが提案
新庁舎建設工事には5者のJV (Joint Venture)からの提案があり、今回受注したのが「竹中・石本・セット設計特定建設共同企業体」というJVで、株式会社竹中工務店、株式会社石本建築事務所、株式会社セット設計事務所で構成されています。他のJVについての情報は公開されていません。
国分寺市のHPで新庁舎建設工事の審査結果資料が公開
そして、3月23日にこの新庁舎建設工事の審査結果資料が公開されました。
【国分寺市】国分寺市新庁舎建設工事(設計・施工)事業者選定公募型プロポーザルの結果について
【国分寺市】竹中工務店JVの技術提案書
【国分寺市】新庁舎建設工事(設計・施工)事業者選定公募型プロポーザル審査結果報告書
特に技術提案書は新庁舎のイメージ図とかコンセプトも載っていて面白いですね。
4つの「BASE」
竹中工務店のJVが出したコンセプトは4つの「BASE」。上記のリンクから技術提案書のPDFをご覧いただければと思いますが、「防災」、「コミュニティ」、「みらい」、「コクブンジ」の4つのテーマに沿って庁舎のイメージを作っています。
私が面白いと思ったのは「コクブンジBASE」。市民から愛される国分寺らしいデザインを地域の皆様と創る、ということで、「地域に調和する庁舎」にこんな一文があります。
西側日射を軽減し、国分寺崖線をイメージする横型ルーバーを提案します。
国分寺市新庁舎 竹中・石本・セット設計特定建設共同企業体 技術提案書のP.4
日射を遮蔽するルーバーに国分寺崖線をイメージするように水平ルーバーを提案しているのですね。
2つの疑問
さて、竹中工務店のJVで決まったのは良いことかもしれませんが、市が公開した審査結果報告書を読んで、2つの疑問がありました。
こちらは5者の評価結果の表です。整理番号KJが今回受注した「竹中・石本・セット設計特定建設共同企業体」で、それ以外はどの会社か不明ですが、総合評価の次点がKIでした。
疑問1: 5者の提案価格の差がたったの770万円
1つ目の疑問は提案価格です。5者の応募があり、その提案金額の最低価格が(89億1千万円)、最高価格が(89億1,720万円)。たった720万円しか違わないんです。89億円で割るとたったの0.08%の違いですよ。5者でそれぞれデザインや工事方法も違うでしょうし、工事単価も違うはず。それなのに提案金額が示し合わせたように89億1,500万円前後になっているなんて。素人考えですが、入札の予定価格が5者の方とも知っていたとしか思えないですよね。
疑問2: 技術点では負けながら市内企業との連携で大差勝ち
そしてもう一つの疑問は、評価点。技術点(技術提案評価)では、70点満点で首位がKIの54.2点で、竹中工務店JVのKJは3位の48.2点でした。実績評価と、提案価格は5者とも満点で差が付かなかったので勝敗を決めたのは「市内企業との連携」。ここで竹中工務店JVのKJは10点満点を獲得しますが、技術点で首位だったKIはわずか1.61点。これにより、竹中工務店JVが逆転します。技術点だと70点満点で首位と5位で9.9点差に収まっていたのに、市内企業との連携では10点満点で首位と5位の差が8.39点も付いています。
国分寺市外の第三者の審査員の方々が審査しているので、正当に評価されているとは思いますが、技術点でKIとKJの6点差を大逆転してしまうほどに市内企業との連携が重みを持った結果となりました。
2024年10月竣工、2025年4月新庁舎併用開始
さて、気になるスケジュールですが、先ほどリンクを載せた技術提案書によると、2021年4月に契約締結をおこない、基本設計や実施設計をおこなってから2022年12月に着工。そして2024年10月に竣工(完成)し、現庁舎からの引っ越しをおこなって2025年4月から新庁舎併用開始の予定になっています。
建設前の土地の桜並木
※2021/03/29更新
そしてこの新市役所の建設予定地には多喜窪通り沿いに桜並木があります。今日見たら綺麗に咲いていました。2025年4月の新市役所の運用開始まで、ずっと桜が見守ってくれますね。
市民への説明会を実施
※2021/05/28更新
国分寺市のHPより、新庁舎建設について市民への説明会を3回実施したことが発表されました。
【国分寺市】新庁舎建設に関する市民説明会を開催しました(2021/05/28)
また、市および建設業者の説明の動画もYouTubeで公開されています。
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Last Updated on 8月 5, 2021
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