国分寺が登場する小説『蛮政の秋』
今日は本にまつわる国分寺の話を。
以前、こちらの記事で紹介しましたが、堂場 瞬一さんが執筆した小説『蛮政の秋』 (集英社。2015年12月刊行、2018年12月文庫刊行)では、国分寺が登場します。
登場人物の西 貴幸 (にし たかゆき)は元代議士。前回の選挙で落選してから3年目を迎え、国分寺に住んで朝に国分寺駅の南口へ辻立ちをしに行くルーティンです。
こんなはずではない、と何度考えたことだろう
西が住む国分寺のマンションについて、小説でこのように書かれています。
西の自宅は、国分寺駅から南西方向へ走る商店街を抜けた一角にある、侘しい一人暮らしのマンションだ。(中略) 今住んでいるのは、2LDK のマンション。一人暮らしには十分な広さだが、代議士時代にもここに住むことに違和感を覚えたものだ。代議士が、国分寺市内の小さなマンション暮らし―こんなはずではない、と何度考えたことだろう。都内に家があったので、都心にある議員宿舎に入れなかったから仕方がないのだが……家賃十二万円が今は重荷になっている。
堂場 瞬一 『蛮政の秋』
小説はフィクションですが、国分寺駅の南西方向とのことなので、多喜窪通り沿いの串カツ田中、とんかつとんき、メランツァーネなどの店が立ち並ぶエリアを抜けたあたりに西のマンションはあるようです。
落選して無職、そして国分寺でのマンション暮らしに「こんなはずではない」と思いながら日々を過ごす西。10月の朝は暑くも寒くもなく何時間でも辻立ちできると言っていた西が、夕方に帰宅するときにはきっと多喜窪通りのこの夕焼けを目にしていたのでしょう。

激動に呑み込まれる西の運命
その後、所属する政党を裏切って鞍替えしようとした西を待ち受けるのはスキャンダル。ハニートラップに引っ掛かり未成年に手を出してしまった西は、新たな門出のために自宅を出発する直前に、所属する政党を除名させられ、さらには条例違反で警察に連行されてしまいます。
「終わった―西は、破滅の臭いをはっきりと嗅いでいた。」
「こんなはずではない」と考えていた男に待ち構える試練。
Last Updated on 10月 26, 2025






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