ルネこだいらでの福間洸太朗さんのピアノリサイタル(2021年12月25日)

国分寺市出身の世界的ピアニスト、福間洸太朗さん

国分寺市出身のピアニスト、福間 洸太朗(ふくま こうたろう)さん。

国分寺市立第四小学校、第四中学校を卒業されて、高校生まで国分寺市で暮らし、そしてヨーロッパに留学して研鑽を積まれて、クリーヴランド国際コンクールで日本人初となる優勝となり、現在はベルリンに拠点を置いて活動していらっしゃる世界的なピアニストです。

世界を股に演奏活動をされてますが、今年は冬から日本でのコンサート活動をおこなっています。そして、本日(12月25日)はルネこだいらでのピアノ・リサイタルがありました。

【ルネこだいら】福間洸太朗ピアノ・リサイタル(2021年12月25日)

小平市が誇るホールで、西武線の小平駅からすぐのところにあります。私もファミリー向けコンサートでよく行っています。

こちらが開演前のルネこだいらの入り口。

ルネこだいらでの福間洸太朗さんのピアノリサイタル(2021年12月25日)
ルネこだいらでの福間洸太朗さんのピアノリサイタル(2021年12月25日)

私は出発が遅れて開演5分前にギリギリ到着したのですが、既に大ホールは満員でした。

共鳴する天才たち

本日のプログラムはこちら。

福間洸太朗ピアノ・リサイタル@ルネこだいらのプログラム
福間洸太朗ピアノ・リサイタル@ルネこだいらのプログラム

タイトルはずばり、「共鳴する天才たち」です。

プログラム前半が

  • ショパン: バラード第2番ヘ長調 Op.38
  • シューマン: クライスレリアーナ Op.16


そして休憩を挟んで後半が

  • ラフマニノフ: 幻想小品集 Op.3
  • スクリャービン: ピアノ・ソナタ第2番『幻想』Op.19

さらにアンコール曲が

  • J.S.バッハ(ヘス編曲): 主よ人の望みの喜びよ
  • ピアソラ: アディオス・ノニーノ(タンゴ・ラプソディー)
  • 加羽沢美濃(かばさわ みの)編曲: きよしこの夜

でした。

同時代で活躍して共鳴し合った作曲家の作品をショパン&シューマン、ラフマニノフ&スクリャービンのペアで構成しました。

自分の言葉で伝える

私は福間さんの演奏会には初めて聴きに行ったのですが、ご自身の言葉で伝えようとしていることに驚きました。クラシック音楽の演奏会にはよく行っていますが、プログラムには音楽評論家の方が作品の解説を書くことも多いですし、演奏家はステージの上で語ることはほとんどありません。なので、演奏はよく聴いているけど、実は声は聴いたこともないという演奏家も多々います。

しかし、本日のピアノ・リサイタルでは、福間さんがプログラム冊子の解説もご自身で書かれていましたし、演奏の合間にトークを挟み、自らマイクを取ってなぜこの曲目にしたか、そして作品の特徴やエピソードを織り交ぜて語ってくれました。例えば、シューマンのクライスレリアーナの第6曲でクリスマスの曲(きよしこの夜)が引用されていますとか、シューマンの音楽の師であり、娘クララとの恋愛を猛反対するヴィークとの葛藤など。これならクラシック音楽に馴染みがない方でも作品の理解がしやすいですし、ここが聴きどころなんだろうなと思って聴くことができますね。

意外にもルネこだいらでの演奏会は初めてということで、昔から聴く側として何度も来ていたこの素晴らしいホールでいつかは演奏できたらなと思っていたそうです。

今日は12月25日でクリスマスですが、プログラムは全くクリスマスに関係なく、「クリスマスっぽくなくてごめんなさい」と本人が語ると聴衆席からは笑いがおこっていました。

福間さんはTwitter(https://twitter.com/KotaroFukuma)もやれていて、情報発信も積極的におこなわれています。弾き手と聞き手をインタラクティブにつないでいる新しいタイプの演奏家だなと思いました。

演奏も素晴らしかったです。最初のショパンのバラードは牧歌的な旋律とともに陰のような暗さも交えて、そして嵐のような曲想ではテンポをグッと上げてドラマティックでした。トークの後に続くシューマンのクライスレリアーナでは、穏やかに語っていた福間さんと本当に同じ方なのかと思うほど、激しく始まり、劇的な曲での情熱とゆっくりとした曲での慈愛さに満ちていました。

そしてロシアの作曲家のラフマニノフとスクリャービンは年齢が1歳違いで同じ音楽学校で学んだ天才たち。今回取り上げたのはともに「幻想」にちなんだ作品で、どちらも初期の作品ですが、ラフマニノフは重々しくて土っぽさがあり、スクリャービンは宇宙に伸びていくような神秘さがあるとトークで語っていた作曲家の特徴が出ていた作品だったと思います。ラフマニノフの有名な「鐘」は、本当に鐘が鳴るかのようでしたし、スクリャービンは水面の煌めきを感じました。

フィギュアスケートのBGMで使用されることもありラフマニノフの音楽は広く知られていますが、スクリャービンは一般的な知名度がありません。「日本に『スクリャービンを広めるの会』があったら副会長をやりたいぐらい」と語っていた福間さん。これを聴いて私もスクリャービンを聴き直そうと思いました。

アンコールでは明るい曲を

鳴り止まない拍手に応えて、アンコールではJ.S.バッハの「主よ人の望みの喜びよ」を演奏。この曲は今年7月の記事で紹介した福間さんの最新のCDにも収録されていた曲ですが、まるで光が差すかのように希望を感じさせてくれました。

カーテンコールでジャケットを脱いで赤いシャツで登場した福間さん。タブレット端末を片手に現れます。マイクをONにして今回のプログラムはコンセプトが明確で大好きと語って「ただ、暗い曲ばかりなんですよね。」と。アンコールでは明るい曲を弾きたかったとして、最初に「よ人の望みの喜びよ」を演奏しましたと。

そして昨日のTwitterでジョイフル・アーツさんのツイートで本日の演奏後にサイン会があるとの情報が流れたのですが、情報の行き違いでサイン会は無いとのこと。そのため、今日はアンコールを多めに、と福間さんのコメントで続いて演奏されたのがピアソラの「アディオス・ノニーノ」。コロナ下でアルゼンチンにも行けず、会えない向こうのファンを想って演奏するとおっしゃってたこの曲は、ピアソラらしい斬新な作品で、足で床を鳴らす演出も。

さらに、クリスマスにちなんで「きよしこの夜」のアレンジ曲をアンコール3曲目に弾いてくださりました。シューマンのクライスレリアーナの第6曲で出てきた旋律が、より繊細な曲となってアレンジされていましたね。本日来てくれた知人から借りたというトナカイのカチューシャを付けての演奏で、見た目もクリスマスっぽかったです。

この曲は昨日、福間さんのYouTubeチャンネルにもアップロードされています。

しっかりと国分寺市も宣伝

プログラムと一緒に配布された中に、2022年2月14日(月)の国分寺市のいずみホールでリサイタルのチラシもありました。国分寺市出身のピアニストが、国分寺市で故郷での演奏会ということで、大いに注目を集めそうですね。チケットは年明けに予約開始で、昼公演が1月6日から、夜公演が1月8日から予約開始だそうです。

福間洸太朗ピアノ・リサイタル@いずみホールのチラシ
福間洸太朗ピアノ・リサイタル@いずみホールのチラシ

実は国分寺市の観光大使を務めている福間さん、アンコール時のトークで「小平市も素敵なホールがあって良いところですが、国分寺市にも良いところがあるのでぜひ来てください。」と国分寺市のPRもしっかりされていました。

私も2月14日のリサイタルにも行きたいと思います。西国分寺駅前なので歩いて行けますし。

福間さん自身がツイートで公演のご報告

ルネこだいらの公演後、福間さんがTwitterでツイートしています。「小さい頃から憧れていた」ルネこだいらでの公演、本当にお疲れ様でした!

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Last Updated on 12月 26, 2021

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