中央線に乗っていると、車内に貼ってある路線図を目にすることがあると思います。こんな感じの。
これを見て皆さんは何を感じますか?
私だったら、黒塗りで白抜きで書かれた駅名(例えば西国分寺駅)は意外に大きいんだな、とかそういう印象を持ちますね。JRの路線図なので、やはり他のJR線との乗り換えができる駅は強調して書いてあるんですよね。その一方で、JR線との直通運転が無い私鉄が乗り入れていても、駅名の表記には影響がありません。例えば吉祥寺駅。「住みたい街」のランキングの常連の街でもあり、京王井の頭線のターミナル駅のこの駅は、乗客数が多いのですが、この路線図では「ちっちゃい駅だな」という印象を持ってしまいます。丸ノ内線の始発駅でもある荻窪駅、西武多摩川線も通る武蔵境駅、西武国分寺線と多摩湖線のターミナル駅でもある国分寺駅も同様です。
もう少し乗客数に応じて駅の表示も変わるような、現実に即した路線図を作れないか、そう思ってやってみました。
中央線の駅の乗客数を調べてみよう
まず、乗客数はJR東日本のWebサイトから入手できます。
JR東日本が公開している各駅の乗車人員
https://www.jreast.co.jp/passenger/
2020年2月時点で、最新版は2018年度のものです。
乗客数は新宿駅が1日平均約79万人でダントツ。さすがギネスに載る駅ですね。1位新宿、3位東京の他にも、16位に立川、19位が中野、22位に吉祥寺、30位に国分寺と中央線が通っている駅が割とランクインしていますね。トップ50の駅の乗客数をプロットするとこうなります。
赤く色を塗ってあるのが中央線が通る駅なのですが、思った以上に入っていますね。中央線沿線が人気なのは本当だったんですね。
中央線の駅の位置と線路のデータを入手してみよう
続いて、路線図をリアルに描くためには、中央線の駅と線路の位置情報が必要です。JR東日本のWebサイトを検索しても見つからなかったので、国土交通省が公開しているデータを使うことにします。
国土交通省が公開している国土数値情報 鉄道データ
http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-N02-v2_3.html
2020年2月時点で、最新版はH27〜30年度のものです。
ただ、このGISデータは気を付けないとデータ解析がミスリードされてしまいます。日本全国の鉄道の情報が入っているので非常にデータが多いのですが、必要なJR東日本の中央線だけでデータを抽出してみますと、「あれ、東京駅が無いぞ」となったわけです。また、線路をプロットしてみようと、同じくJR東日本の中央線でデータを抽出してみると、「あれ、東京〜神田間の線路が無いぞ」と。そう、このデータには各レコードに路線毎の分類が付いているのですが、なぜか「中央線」にタグ付けてあるレコードに東京駅付近のものが欠落しているのです。仕方がないので、「東北線」としてタグ付けられている東京駅と東京〜神田間の線路データの位置情報を使用しました。
また、中央線のデータ自体は高尾より西の駅のものもありますが、ここではJRが駅番号「JC」で番号付けしている東京駅(JC01)〜高尾駅(JC24)までを対象範囲とします。
こちらが作成した路線図です。2018年度の1日平均の乗客数に応じて駅のマーカーの丸の大きさを変えています。新宿駅と東京駅がダントツで大きいですが、ランキング上位の立川駅、中野駅、吉祥寺駅、国分寺駅なども大きくなりましたね。逆にJRの車内の路線図と比べて存在感が小さくなってしまったのが西国分寺駅。1日平均29,928人の144位で、東京〜高尾間では、日野駅の27,257人(155位)、高尾駅 28,871人(151位)に次ぐワースト3なので、このような結果になっています。中央線と武蔵野線の2路線が使える駅なのに意外と乗客数は少ないんですね。
線路も実際のGISデータを使っていて、「リアル」な路線図が作れました。これを眺めながら、新宿と東京は別格として、立川と吉祥寺は乗客数が結構多いんだなとか、中野〜立川間は線路が東西にキレイに真っ直ぐだなとか、色々思い付くことが出てきますね。
Last Updated on 2月 28, 2020
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